私とBUMP OF CHICKEN

私とBUMPOFCHICKEN

全部のはじまりでした。

私とBUMP OF CHICKEN

 

2012年7月3日(火)19時。「BUMP OF CHICKEN 2012 TOUR『GOLD GLIDER TOUR』」。国立代々木競技場第一体育館。
ステージ下手側2階席に、私はいた。会場が暗転し、オープニングのムービーが終わると、紗幕の向こうに彼らのシルエットが現れた。シルエットのまま演奏されたのは “三ツ星カルテット”。そのまま2曲目の“宇宙飛行士への手紙”へ。最初のフレーズを歌い終わったあと、紗幕が落ちた。と同時に、私は号泣した。「本当にいるぅぅ、実在するんだぁ……」とぶつぶつ言いながら。私の視界には、あの4人組がいた。それが、彼らのライヴを初めて見たときのことだ。ずーっとこの瞬間を待っていた。何度もこの光景を思い描いていた。ついに現実になったんだ。本当にいた。やっと会えた。この瞬間のことは、一生忘れないと思う。

2002年。私が彼らに出会ったのは、私が中学校1年生の時。昼休みの校内放送だ。当時、放送委員がBGMとして好きな曲を流して良いことになっており、当時、ヒットチャートを賑わせていた女性アーティストやアイドルの曲ばかりが流れていた。
その出会いは、突然だった。
ある日、教室のスピーカーから流れてきたのは疾走感のあるギター。なんというか鼻にかかったような高いとも低いとも取れない特徴的な声。その瞬間、それまで大して音楽に興味がなかった私に、雷のように衝撃が走った。「何だ、この曲!誰の何の歌!?」急いで食べていたお弁当をどかしてノートを広げ、聞こえるだけの歌詞をノートに書き殴った。帰宅して調べると「BUMP OF CHICKEN」の“ラフ・メイカー”という曲だった。この人たち、バンプオブチキンっていうのか!
そこからは早かった。お年玉をつぎ込み、CDとDVDを買い集めた。当時はラジオの届かないほど山奥に住んでいたので、窓の外に無理やりラジオを括り付けて、彼らのラジオ番組を録音した。近所の図書館に通ってインタビュー記事を探しては収集した。知れば知るほど、彼らの音楽と、音楽に対する真摯な姿勢に、朗らかなキャラクター……かっこよすぎて愛らしすぎるへなちょこの4人組に、もうどっぷりハマっていた。彼らの音楽で私がまず一番心を惹かれたのは、とても映像的な曲の世界観だ。“K”や“ダンデライオン”など、ただ歌詞にストーリーがあるだけではなく、メロディのひとつひとつもそれぞれの世界を形作っていた。一曲一曲が、まるで絵本を読んでいるようで、優しくなったり切なくなったりするのは、それまでに無い体験だった。
その世界観をもっと深く知りたくて、歌詞カードを隅々まで読んだ。気に入った歌詞をノートに書き写したりもした。ケータイの待ち受けも、プリクラ帳も、教科書の落書きも、彼らのことでいっぱいだった。親も引くほどの没頭ぶりだったが、生まれて初めて「大好きなもの」ができて、本当に嬉しくて楽しくて毎日がキラキラしていた。
BUMPと出会ってから、音楽そのものが大好きになった。情報を求めて、ファンが運営するホームページ、通称ファンサイトを見るようになり、サイトの管理人が紹介する他のアーティストも聴くようになった。高校生になり、音楽好きの友人に誘われ、生まれて初めてのフェスに行った。音楽がずっと鳴り響く夢のような場所だった。「BUMPの番組が見たい!」と親に駄々をこねて加入したCSの音楽チャンネルで、ミュージックビデオの世界にのめりこみ、もっともっと音楽が好きになった。

出会ってからまもなく15年が経つ。本当にたくさんの音楽体験のきっかけになったのがBUMPだ。
人生の重要な場面では、必ず彼らの音楽がそばにいた。中学の部活の引退試合前には“sailing day”、高校入試とセンター試験の朝は“Stage of the ground” 、就活で「お祈り」されたときは“ダイヤモンド”。私はずっと彼らの音楽に支えられてきた。
時とともに、彼らの音楽も変わってきた。 “supernova”や“虹を待つ人”、 “white note”など、ライヴでシングアロングできる楽曲の数が以前よりも増え、まっすぐ私達に伝わるような楽曲が増えたように思う。それは彼らの音楽と聴き手に対する真摯な姿勢と、聴き手に届けるための音楽を追求し続けた結果なのだろう。
あのお昼休み、“ラフ・メイカー”が流れなかったら、今の私はいないかもしれない。私の人生で何よりも一番長く続いている肩書きは「BUMP OF CHICKEN大好き人間」だ。もうすっかりへなちょこの4人組に魔法をかけられてしまっている。ここまで好きになってしまったらもうどこにも戻れないし、これからもずっと続いていくことは間違いないだろう。あぁ、もうどこまでも行きます。ありがとうございます。

小山 伸子