世界観が歌う『世界観』を聴いて僕達私達が感じた「世界観」〜クリープハイプ『世界観』クロスレヴュー〜

世界観

クリープハイプが、ヴォーカルである尾崎世界観自身の名前を冠したアルバム『世界観』を2016年9月7日(水)に発売します。このタイトルを聞いて編集部で上がった話題は、「結局、世界観って何なんだろう?」ということ。そこで今回は、アルバム『世界観』を通して感じ、考えた、それぞれの「世界観」についてのレヴューを書いてみました。五者五様の「世界観」を読んで、『世界観』に想いを馳せてみませんか。

 

クリープハイプ
- 4th ALBUM「世界観」全曲トレーラー映像

 

 

 

世界観が歌う
『世界観』を聴いて
僕達私達が感じた
「世界観」

 

クリープハイプ『世界観』クロスレヴュー もくじ

 

1.私が思う『世界観』は、TwitterのTLだ。(荒池 彬之)

 

2.私が思う『世界観』は、前代未聞の事件だ。(遠藤 瑶子)

 

3.私が思う『世界観』は、恥ずかしがり屋から素直への転換だ。(畠山 拓也)

 

4.私が思う『世界観』は、自分を肯定してくれるものだ。(北 純子)

 

5.私が思う『世界観』は、日本人の思想そのものだ。(山吹 彩野)

 

私が思う『世界観』は、
TwitterのTLだ。

クリープハイプの作品において歌われる、彼らに向けられる余計なお世話(“社会の窓”での<なんかあの声が受け付けない>など)な発言を聴く時、頭に浮かぶのはTwitterのタイムラインやニュースサイトのコメント欄だ。10年程前まではこういう仮想敵の代表格は2ちゃんねるで、批判にしても「本当はお前大好きだろ」と思う程、熱量のあるものがぶつけられていた気がする。怒りを歌に変えるのがロックの原動力のひとつだとするならば、当時はそんな2ちゃんねる的な激しい批判にどう対抗するかがロックのテーマであった。
今、ロックミュージシャンが向き合うべきは「しょうもない表層的な他者からの批判」へのいらつきではないか。「今更それ言って何になるの?」的言説は、ネット上に湯水のごとく垂れ流されるのみならず、わざわざSNSを通じて本人にドヤ顔で報告(リプライ)されてしまう世の中であり、まったく芸能人やミュージシャンは大変だろうと思う。マジレスしても不毛、無視しても気は晴れない。そんな受け手を無気力にさせるようなしょうもない批判が溢れる中で、尾崎世界観が提示したひとつの対処法は「その話で気づいたんだけどさ」と、もっとレイヤーの高い本質を考えるきっかけにする、というやり方だった。これからも彼はタイムラインに沈殿するしょうもない悪意から本質の上澄みを掬い取り、作品という形に昇華させていくのだろう。

荒池 彬之

 

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私が思う『世界観』は、
前代未聞の事件だ。

クリープハイプと言ったらエロいを通り越して、男女の裸の物語が曲にある。セックスというキーワードはこのバンドの曲には欠かせないぐらいだ。ライヴで“HE IS MINE”を演奏すれば<今度会ったら>という尾崎世界観(以下、尾崎)の声に「セックスしよう!!」と観客が大声で返すのがお決まりになっている。しかし、本作の中にはセックスにまつわる曲がひとつもないのだ。これは大事件である。
そもそもクリープハイプの楽曲において男女の裸の関係を歌う曲が多いのは何故か。それは自己の承認欲求にあったのではないだろうか。尾崎の自分がやっている音楽を認めてほしい、自分の存在を認めてほしい。そんな気持ちはセックスと同じではないだろうか。ありのままの姿で相手の腕の中に受け止めてもらう。形は違えど、求める欲求は本質的に同じ場所へ落ち着くのではないだろうか。
「人に認められたい、愛してもらいたい、そんな自分しか愛せてない人間が人から愛されることなんてないんだから馬鹿だよな。」本作の最後に収録されている“バンド”で吐露される尾崎の心の声。そんなダサい自分がいることも外に向けて肯定できる。他人に承認欲求を求めずとも自分が自分自身を認められた。そんな流れから自然とセックスを歌わなくなったのではないだろうか。『世界観』を聴き終えてから、凛と立つ尾崎の背中に飛びつきたくて仕方ない。

遠藤 瑶子

 

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私が思う『世界観』は、
恥ずかしがり屋から素直への転換だ。

殻に閉じこもり、自分本位であった尾崎世界観(Vo&Gt)は恥ずかしがり屋の、所謂ツンデレであったのだと思う。彼は今まで、人に愛されたいのに愛されたい素振りを見せず、人を愛しているのに人を愛していると言わなかった。しかし、『世界観』は素直に人を愛し、人に愛されたい言葉が並べられ、完成した。恥ずかしくて素直になれないから、気持ちを歌にして届けるアーティストはたくさんいる。“手”<ありきたりな感情が恥ずかしい>と歌う、尾崎世界観もその1人だと思う。そんな彼が素直な気持ちをそのまま綴った楽曲“バンド”は明らかなバンドのメンバーへの感謝ソングである。アコースティックギター一本のアルペジオのみのゆったりとしたメロディがノスタルジーな情緒を漂わせ、<今はひとりで歌いたいから 少し静かにしてくれないか こんなことを言える幸せ>と歌う。今まで、中々歌に表現しなかった、自分の事を分かってくれるメンバーへの愛情を赤裸々に歌で表現した。
素直な気持ちを歌った『世界観』を聴いていると、「早くお前も素直になれ」と言われている気がする。

畠山 拓也

 

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私が思う『世界観』は、
自分を肯定してくれるものだ。

人はひとりひとり、いろんな面を持っていると思う。例えば大学生。大学での自分、高校の同級生に見せる自分、アルバイトをしている時の自分、家にいる時の自分、1人でいるときの自分。どの自分も自分であるのには変わりはないが、まったく同じ自分ではないはずだ。それは意識しているものではなく、無意識のうちにそうなってしまうものだと思う。
この『世界観』というアルバムでは、アーティストとしての尾崎世界観、男としての尾崎世界観、人としての尾崎世界観を感じることができる。みんなそれぞれの物語があり、背負っているものがある。
「世界観」という言葉は本当に難しい言葉だ。範囲が広すぎて自分の何を表すものなのかも正直わからない。しかし、このアルバムを聴いて私は、自分を作るすべての面を「世界観」と呼ぶことができるのではないかと思った。そしてその曖昧な「世界観」という言葉は、自分を肯定してくれるような気がする。

(北 純子)

 

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私が思う『世界観』は、
日本人の思想そのものだ。

日本語には、海外にない言葉や考え方がたくさんある。例えば日本の美意識のひとつである「わび・さび」や、悲しさや恋しさで胸が締め付けられそうになる思い「切ない」など。これらは、日本人が感じる物事の奥ゆかしさを表現する言葉だ。そして、「世界観」という言葉も日本人ならではの言葉である。
ライヴ後の「世界観がいい」という曖昧な感想に、評価をちゃんとしてもらえていないと感じたことから、あえて自分の名前にしたというクリープハイプの尾崎世界観(Vo&Gt)。そのような逸話がある言葉をあえてアルバムタイトルにしたのが、今作『世界観』だ。ジャンルレスで、一聴すると統一感がないかと思いきや、聴けば聴くほど味や深みが出てきて、これぞクリープハイプだと感じる1枚なのだ。
クリープハイプの曲の歌詞は、ストーリーや人物の心情が手に取るように伝わってくる。<どこにいても何をしてたって ずっと考えてあげる>(“僕は君の答えになりたいな”)など、男性だけが持つ女々しさを歌わせたら彼ら以上に伝えられる人はおらず、男性版西野カナの“トリセツ”と言ってもよいほど。
自分の名前やアルバム名を「世界観」と付けたのは、人物の複雑で微妙な心情を伝える言葉を持ち合わせているからこそ、「世界観がいい」と言われたその言葉の曖昧さに疑問を持ったからかもしれない。だが聴く人は、クリープハイプの繊細さに触れ、バンドの音楽から感じた感情を伝えきれないからこそ、最上級の「世界観がいい」という言葉で感想を伝えたのではないかと考えざるを得ないのだ

山吹 彩野

 

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クリープハイプ 公式HP
http://www.creephyp.com

 

【今後のライヴスケジュール】

クリープハイプモバイル会員限定ライブ「クリープハイプの日」
2016年9月8日(木) 新木場STUDIO COAST

 

風とロック芋煮会2016
2016年9月19日(月・祝) KAZETOROCK IMONY WORLD 白河市しらさかの森スポーツ公園

 

全国ツアー「熱闘世界観」
2016年9月10日(土) ー1回表 富山ー
9月11日(日) ー1回裏 新潟ー
9月16日(金) ー2回表 岡山ー
9月17日(土) ー2回裏 高知ー
9月22日(木・祝) ー3回表 和歌山ー
9月24日 (土) ー3回裏 鹿児島ー
9月25日(日) ー4回表 熊本ー
9月29日(木) ー4回裏 高崎ー
10月1日(土) ー5回表 岐阜ー
10月2日(日) ー5回裏 浜松ー
10月7日(金) ー6回表 米子ー
10月8日(土) ー6回裏 高松ー
10月10日(月・祝) ー7回表 福岡ー
10月15日(土) ー7回裏 盛岡ー
10月16日(日) ー8回表 郡山ー
10月23日(日) ー8回裏 那覇ー
11月4日(金) ー9回表 大阪ー
11月5日(土)ー9回裏 大阪ー
11月9日(水) ー10回表 東京ー
11月10日(木) ー10回裏 東京ー
11月13日(日) ー11回表 札幌ー
11月17日(木) ー11回裏 名古屋ー
11月19日(土) ー12回表 広島ー
11月26日(土) ー12回裏 仙台ー

 

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9月7日発売予定/レーベル:ユニバーサルミュージック

 

【ふりかえる】

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尾崎世界観『祐介』「『祐介』という1枚のアルバム」

 

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クリープハイプ『一つになれないなら、せめて二つだけでいよう』「別れとその先」