第3位 SAKEROCK 『SAYONARA』「笑顔の卒業アルバム」

2015年4月26日

sakerock画像
No.3

第3位
SAKEROCK
『SAYONARA』

「面白いことをやる」と言ったって、大人になるとしがらみに飲み込まれて思い通りにできないのが現実。しかし今作は本当に純粋な気持ちで作られた。それは脱退していた2人を呼び戻し、高校時代からの付き合いだった5人が再結集して解散することを決めたからできた奇跡的にして刹那的、だからこそ真っ直ぐに伝わってくる1枚。独自の音楽性を貫く唯一無二のインストバンド・SAKEROCKのラストアルバムだ。
SAKEROCKの音楽には、バンドを始める初期衝動のような感情が表現されている。1つ目は、音楽好きな彼らが同じ高校で出会い、若さゆえの「誰もやっていない面白いことをやろう」という無垢な冒険心。2つ目は、歌うことは好きだが自分の歌声が嫌いだった星野(Gt&Marimba)や、クインシー・ジョーンズのサウンドに憧れて始めた自分のトロンボーンの音があまりにも違い愕然とする浜野(Tbn)の「青春時代に浴びた悔しさ」だ。その反動からか、星野のマリンバは大口を開けて歌い、聴いていると少し心配になる浜野の味のあるトロンボーンの音色も、「俺が主役だ」と存在感を示している。
感傷に浸りながら聴き始めようとすると、伊藤(Dr)のアップテンポなカウントから始まる1曲目の“Emerald Music”は全くそんな気分にさせてはくれず、彼ららしく幕を開ける。“Couple”ではトロンボーンをミュートでプワプワ鳴らす音と電子ピアノの絶妙な絡みが「昨日のドリフ見た?」とお笑いについて話す様子を想像させるし、“Orion”での奇声は、意味もなく大声を出したりする若者を思い起こさせる。それはまるで、皆が笑顔で良いとこ尽くしの卒業アルバムをめくるような、ありきたりだけれど楽しかった彼らの高校時代の思い出をひとつひとつ一緒に振り返っているような、そんな感覚に陥ってしまう。
個々での活動で培われた技術や経験を持ち寄り、最高に楽しく温かく切ない最高傑作。
中途半端なことが嫌いな星野のことだ、またいつかはないのだろう。みんなが泣き笑いながら歌う卒業式での別れの歌のような“SAYONARA”を聴いて、そう確信したのだ。

山吹 彩野

 

※このランキングは3月30日~4月8日の期間に発表されたものを対象にしています。

 

SAKEROCK 公式HP

http://sakerock.com

 

SAKEROCK / SAYONARA Music Video

 

SAKEROCK / Emerald Music [Music Video & Best Album Trailer]
サケロック
/ エメラルドミュージック

 

【ラストライヴ】

SAKEROCK「LAST LIVE”ARIGATO!”

2015年6月2日(火)両国国技館

OPEN 18:00

START 19:00

 

amazon

発売中/レーベル:カクバリズム

 

明日公開の第2位は、奇跡的な来日を遂げたソロアーティストと、MUSIUMでも取り上げたことのあるバンドの2マンライヴの模様をお伝えします。

 

【3月30日~4月8日のMUSIX RANK】

10位「オシャレを装った……」感覚ピエロ『「鷲掴み」Tee』

 

9位「次回作は『EP3』!」FKA Twigs MV『Glass & Patron』

 

8位「友達という『薬と毒』」LIVE 「Sparkling Records」2015年4月7日(火)恵比寿 LIQUIDROOM

 

7位「みんなが集うためのバンドになるには」Awesome City Club『Awesome City Tracks』

 

6位「ゴールからのスタート」SUPER BEAVER『愛する』

 

5位「魂のゆくえ」Sufjan Stevens『Carrie & Lowell』

 

4位「心地よさを追求したサウンド」LUCKY TAPES『Touch!』