Albino Sound 『Cloud Sports』「見えてくるアスリートの姿」

2015年11月21日

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Albino Sound
『Cloud Sports』

見えてくるアスリートの姿

『Cloud Sports』と聞いて、あなたはどんなスポーツを思い浮かべただろうか? 今作は架空のスポーツをイメージして作られた、Albino Soundのデビューアルバムだ。

プロデューサー、そして自らプレイヤーとして電子音楽を鳴らす梅谷裕貴のソロプロジェクト、 Albino Sound。彼は、様々な分野で独自に音楽を追求しているアーティストのための音楽学校、レッドブル・ミュージックアカデミーに選ばれた、数少ない日本人の一人だ。このアカデミーに入学すると、著名なミュージシャンによるレクチャーが受けられ、恵まれた環境で音楽制作に励み、時代の先端を行くライヴやクラブイベントに参加するチャンスも得られる。音楽を愛し、音楽を探求するアーティストにとっては夢のような学校である。 Albino Soundが電子音楽を作り始めたのは、なんと昨年のこと。それまでは、世界のサイケで実験的なロックにハマり、リズムという概念のない瞑想的なドローンやアンビエントミュージックを、一人ギターで鳴らしていたというのだから驚きだ。
思わず身体が動く、ミニマルでストイックに繰り返されるビート。そこに加わるピンと張り詰めた高音により、一気に緊張感が高まる。時に、力強い低音が作り出すリズムは柔軟に姿を変え、きらめき、また穏やかにたゆたう電子音は幾重にもなる。このMixを手掛けたのが、サカナクションのRemixなども行うAOKI takamasaだ。今作は彼の手により、Albino Soundのルーツであるロックの躍動感、そして繊細で美しい音が重なる心地よさも感じられる、極上のエレクトロニックミュージックになっている。
アルバムのラストスパート、“Airports 2”のBPM200の打ち込みは、もう限界だ! というように高鳴る鼓動と足音に聴こえ、繰り返す清涼なメロディは全身で風を切り、駆け抜ける選手の姿を目の前に浮かび上がらせる。ゴールに辿り着いた時、すなわちこのアルバムを聴き終えた時の達成感、すがすがしさといったらこの上ない。 Albino Soundの音楽から見えてくる、アスリートの表情や感情、筋肉、光り輝く汗、呼吸。私は、雲(Cloud)のようなもやの中を、手探りでゴールを目指し駆け抜けていく、そんなスポーツを想像しながら聴いているが、他の人が聴けばまったく違う新たなスポーツを考え出したかもしれない。
『Cloud Sports』は、音楽とはこんなにも私達の想像を掻き立て、ビジュアルとして映し出し、新しい世界に連れて行ってくれるわくわくするものだったんだということを、改めて教えてくれた。

及川 季節

 

※ピンクの星内の漢字は、扱う音楽から感じる印象を漢字一文字で表しています。

 

Albino Sound – Sound Cloud

 

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