星野源『恋』「軌跡を辿る音」

2016年10月7日

星野源

星野源
『恋』

軌跡を辿る音

初めて“恋”の印象的なイントロ部分を聴いた瞬間、星野源の音楽の歴史が走馬灯のように頭の中を駆け抜けた。それは、2015年に発売したアルバム『YELLOW DANCER』で表現した、ブラックミュージックとJ-POPの融合。さらには、影響を受けたと公言している、細野晴臣の『泰安洋行』などから感じられるイエローなトロピカル感を、ジャー・パンファンが演奏する二胡(中国の弦楽器)や、SAKEROCKで星野源が担当していたマリンバを今作でも演奏することで表現していたりと、今まで辿ってきた音楽がすべて詰まっていると感じたのだ。
今作には一聴するとネガティヴな曲はなく、希望しかない。しかし、歌手として星野源が活動し始めた頃は、絶望の曲ばかりだったのだ。例えば、性格ブスな元カノへの怒りを歌った“ばらばら”や、<殺してやりたい 人はいるけれど>と始まり、一発で聴く人をネガティヴゾーンへ突入させる“バイト”など、ギターを弾き、とつとつと歌うのが、星野源の基本スタイルだった。しかし、『Crazy Crazy/桜の森』以降、その鬱屈とした想いは、「ブラックミュージック」を通して表現されることになる。
ブラックミュージックとは人種差別が激しかった時代に、「辛いけどそんなの忘れて楽しく踊ろう」という想いから生まれた音楽だ。もしかしたら星野源自身、結婚はするもんじゃないとネガティヴにとらえているかもしれない。しかし、今作“恋”では、多様化してきた「恋」や「夫婦」のあり方をポジティヴにとらえ、日本の音楽とブラックミュージックを掛け合わせたイエローミュージックとして体現し歌っている。つまり、ブラックミュージックの概念や、元々の星野源の音楽性から考えると、ネガティヴさが“恋”の裏に隠されているかもしれないのだ。
「楽しさで辛さを忘れる」という今の星野源の音楽は、歌うことへの憧れや葛藤が、今になってすべて花開き、星野源が生きてきた軌跡がすべて糧になった結果だ。しかし、「あれだけ悶々としていた想いがこの音楽のどこかに隠れているのかも」、「この音は誰が出しているのか」、「背景にあるものとは」などと考え出したら、深く探ってみたくなってしまうのが、星野源の音楽なのだ。

山吹 彩野

 

星野源

1981年1月28日、埼玉県生まれ。学生の頃より音楽活動と演劇活動を行う。2000年に自身が中心となりインストゥルメンタルバンドSAKEROCKを結成。2015年12月にリリースしたアルバム『YELLOW DANCER』は自身初となるオリコンウィークリーアルバムチャートで1位で、35万枚の売り上げを記録している。音楽家・俳優・文筆家として、幅広く活躍中。2017年1月23日(月)・24日(火)の2日間、パシフィコ横浜 国立大ホールにてワンマンライヴ 「星野源 新春 Live 2days 『YELLOW PACIFIC』」の開催を予定している。

※星内の漢字は、扱う音楽の印象を漢字一文字で表しています。

 

星野源 公式HP
http://www.hoshinogen.com

 

星野 源 – 恋 【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】

 

 

【今後のライヴスケジュール】

テレビ朝日ドリームフェスティバル
2016年10月23日(日) 代々木第一体育館

星野源 新春 Live 2days 『YELLOW PACIFIC』
2017年1月23日(月) パシフィコ横浜 国立大ホール
2017年1月24日(火) パシフィコ横浜 国立大ホール

 

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発売中/レーベル:ビクターエンタテインメント

 

【ふりかえる】

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